地磁気とは

地磁気(ちじき)とは、読んで字のごとく、「地」の「磁気」、つまり、地球が持つ磁気を指します。「地球磁場」と呼ぶこともあります。皆さんも方位磁石のN極が北を指すことから、地球自身が大きな磁石であることをうすうす感じたり見聞きしたりされているかと思います。実際、地球はとてつもなく巨大な磁石です。その強さはおおよそ「ピップエレキバン1023個分」ほどもあります。1023というのは、1万の1万倍の1万倍の1万倍の1万倍の千倍です。

地球は巨大な磁石ですが、私たちが普段使っている磁石とは少し様相が違います。 磁石には永久磁石と電磁石の2種類のものがあります。前者は棒磁石のようなもので、ずっと安定した磁場を作っていますが、後者は回路に電気が流れている間だけ磁石になるものです。地球の磁場は電磁石です。ずっと同じ姿をしておらず、絶えず変化・変動しているのです。

地磁気を語るためにはどうしても地球の内部構造を説明しないわけにはいきません。 地球は大きく分けると4層構造をしています(右の図)。我々が立っている地面の直下は 地殻 と呼ばれる岩石圏です。厚さが数~数十kmほどあります。地球の半径が約6400kmほどですから地殻は薄皮一枚分しかありません。その下には厚さ約2900kmの マントル と呼ばれる岩石圏が存在します。 マントルはプレートや火山の根っこになっていたりして、地球表層や私たち人間とも重要な関連がありますが、こと地磁気に関してはあまり大きな役割ではありません。 マントルの下にある核が地磁気の発生する現場です。核は主に鉄とニッケルでできているのですが、上下2層あり、 外核内核 と呼ばれます。外核と内核の違いは溶けているか固まっているかです。外核は液体の鉄ニッケルでできていて、絶えず流動しています。一方で、内核は外核の金属が冷えて固まってできた半径1200kmほどもある地球の芯です。

地磁気は液体の金属である外核で発生していると考えられます。 発生するしくみ(ダイナモ作用)はそれ自身とても難しいので、別項を設けて説明したいと思いますが、簡単に言うと、「磁場があるところで金属が動く(流れる)と電流が発生する」→「電流が流れるとその周りに磁場ができる」の繰り返しです。

地磁気がどうなっているか、どうして地磁気ができるのか、などを研究する学問を総称して「地磁気学(英語では Geomagnetism)」といいます。 地磁気学が対象としているのは、一般的な地磁気とそれを発生させるダイナモ作用、そして現在の地磁気の様子です。

地磁気モデルとは

上で説明したように、地磁気のほとんどは核に起源を持ちます。地表あるいは上空の何ヶ所かで 地磁気を観察していると、おおよそ全地球的な地磁気の様子を知ることができます。これを 地磁気モデル と呼んでいます。世界で初めて実際に地磁気モデルを作成したのはあのガウスです。彼は球面調和関数というものを開発し、地磁気モデルを関数の係数群として求めました(欧州各地で観測された地磁気データを用いました)。現在では球面調和関数は、量子力学をはじめとしてさまざまな場面で用いられています。

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