現在の地磁気の様子
下の図は、2010年現在の地球磁場がつくる磁力線です(クリックで拡大)。
地磁気は、現在に限らず歴史の多くの時間では、棒磁石(双極子と呼びます)に近いものであったと考えられています。ただし、地磁気は外核の複雑な流体運動が作り出してますので、絶えず変化していますし、完全な双極子とは少し違う磁場です(これを「双極子以外の成分が含まれている」と言います)。 下の地磁気のKMLファイルをGoogle Earthから開いてみましょう。ぐるぐる回すと、同じ緯度でも磁力線が濃集している方向(経度)があることが分かりますか?
この図の元となっている地磁気モデル --- 国際標準地球磁場(IGRF: International Geomagnetic Reference Field) --- は世界各地の地磁気観測所(日本では茨城県柿岡、北海道女満別、鹿児島県鹿屋にあります)と衛星からの詳細な観測をもとに、5年ごとに決定される標準モデルです。
これは地球内部に起源を持つ磁場のポテンシャルを球面調和関数で展開した係数として定義されます。
IGRFは全球の波数にして10次(現在は13次)まで定義されてきました。この次数までの展開によると、約3000kmよりも大きな地磁気の構造を表していると考えられます。
日本列島などのもっと小さな磁気異常の構造は含まれていませんが、地表の各点におけるおおよその地磁気の構造は十分表せていますし、
上空に行けば波数の大きな構造は見えづらくなりますので、地球外から見た磁力線としてはよく表現されているでしょう。
IGRFについてはこちらに詳しく説明されています。
2010年の地磁気磁力線ファイル: MAGE01-2MFL_2010Field_20121003.kmz (639kB)
外部リンク:
気象庁 地磁気観測所
IGRF (京都大学世界資料解析地磁気センター)
Reference:
International Geomagnetic Reference Field: the eleventh generation, International Association of Geomagnetism and Aeronomy, Working Group V-MOD. Participating members: C. C. Finlay, S. Maus, C. D. Beggan, T. N. Bondar, A. Chambodut, T. A. Chernova, A. Chulliat, V. P. Golovkov, B. Hamilton, M. Hamoudi, R. Holme, G. Hulot, W. Kuang, B. Langlais, V. Lesur, F. J. Lowes, H. Luhr, S. Macmillan, M. Mandea, S. McLean, C. Manoj, M. Menvielle, I. Michaelis, N. Olsen, J. Rauberg, M. Rother, T. J. Sabaka, A. Tangborn, L. Toffner-Clausen, E. Thebault, A. W. P. Thomson, I. Wardinski Z. Wei, T. I. Zvereva., Geophys. J. Int., 183, 1216-1230, 2010. DOI: 10.1111/j.1365-246X.2010.04804.x.
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